老後の安心。家族のために生前にやっておくべきこと。
~進化する相続対策 令和最新版~
相続対策といえば自身が亡くなった後の「争族」や「節税」への備えを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、近年の高齢化社会の進行で死後より生前の「財産管理」や「多様な資産承継」が重要視されるようになってきました。財産を保全し、また円滑に家族へ引き継ぐために生前に準備をすることが大切です。
認知症になると家族や福祉関係者の支援を受けながら生活を送ることが必要となってきますが、その時点で「相続対策」に関連する多くの行為が行えなくなります。認知症となった方は法律上「判断能力」を失った人と判断され、以下のような行為が行えなくなるからです。
・生前贈与
・不動産の処分(売却)
・遺言書の作成
・遺産分割協議
・預金口座からの引き出しや振込み
・賃貸借契約の締結・更新ができない
・物件の建築・建替ができない、資金借入ができない
・物件の売却・買替ができない(不動産法人化もできない)
※スワイプでグラフが切り替わります。
厚生労働省が発表する令和4年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09歳となりました。男性は85歳、女性は90歳までほぼ半数の人が生きるという時代へ突入しています。そして健康寿命を鑑みると男性で約9年、女性で約12年何かしらの障害を抱えて生きるということになり「長期化する高齢期」への備えが求められます。
「長期化する高齢期」とともに認知症のリスクも増大します。「わが国の性別・年齢階級別認知症有病率(厚生労働省)」によると65歳以上の約16%が認知症であるとされ、80代後半では男性の35%・女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%・女性の84%が認知症であるとされています。
<社会構造の変化>
・超高齢化社会となり認知症に罹るリスクが増大
・現行では「判断能力の低下(認知症手前)~認知症」の間の制度の整備が不十分
・家族という存在の希薄化(核家族化、少子化、未婚率の増大)
・「家を継ぐ」といった時代が終わり、均分相続(※)へ移行
※均分相続(きんぶんそうぞく)とは、遺産を複数人へ相続する際に割合を等しくして相続すること。
これらに代表される社会構造の変化により、自身が亡くなった後の相続対策から、自身のライフステージの最終段階における「令和時代の相続対策」が重要となっています。